わたしたちが人生に期待できること

「生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかを知ることだ。(『夜と霧』フランドル著)」

 

今日は、第二次大戦末期をユダヤ人としてアウシュビッツ強制収容所で過ごした心理学者フランドルの言葉に、ハッとしました。同じく過酷な境遇に置かれたとき、命を落とした者と生き残った者の運命を分けたものは、「自分の未来に目的を持ち続けたか否か」だったといいます。

 

人類史に残る現場を生き抜いた彼は、後世の平和な時代を生きる私達に、生きる事からなにかを期待することの無意味さを伝えます。人生に何かを期待するのではなく、人生が私達に期待している何かに耳を澄ませ。それを生きる事によって自分が表現するんだ、と。

 

日常に埋没する私達は、いつも何かどこか別の場所に完全な人生が存在する、と考えてしまいがちです。でも多分そうではない。いつか完全な人生に出会えたら全力を尽くすのではなくて、どんなに小さい事でも今の人生を大切に生きる。過去の惨禍を生き抜いた人は、今の私達にそう力強く伝えているように思えてなりません。