もう一つの日本の良さ

日本に帰国してバスに乗ったときのこと。なんの変哲もない、普通のバス。そこで私は、何か、とても清々しいものに遭遇してしまいました。


バス停にバスが止まった瞬間、運転手さんが運転席から飛び出て、私の方に駆けてくるのが見えました。一体何が起こったかと身構えてしまいましたが、彼は私などには一目もくれず、神技とも思える勢いで椅子を上げてスペースを作り、ドアをさっと開けたのでした。
そしてドアの向こうには、車椅子の少女が。
彼は、やはり私が目をみはる手際の良さで車椅子を車内に入れ、また何事もなかったかのように運転席にもどりバスは出発しました。なんの変哲も無い、日常の一コマ。これに私が異常に反応したのは、これが海外ではまず目にしない光景だったからです。海外の公共機関のドライバーから感じるのは、まず諦めの感情です。目的地まで運転はしますが、それ以上のことはとても期待はできません。
 
あまりに印象的だったので、終点に着いた時に感動した事を伝えてみました。彼は「あ、はい」とそっけない返事。そして次の出発に向けた準備を黙々と始めたのでした。
日本が本当に世界に誇れるのは、技術や文化もそうですが、社会を支える人々の一生懸命な働きぶりにちがいない。どんなに平凡な毎日であっても、見ている人はきちんとその背中を見ている。これはどんな仕事にも当てはまると思えた出来事でした。