ところで働き手の「便利さ」はどこへ行った?日本

(c) http://www.tripadvisor.jp
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帰国すると必ず驚く事があります。それは、ベルを押すと30秒以内に席に駆け寄る居酒屋の店員さん。何を頼んでも常に笑顔で、低姿勢の姿。「ありがとうございました!」の声はハリがあって元気。フロアに膝を付かれると、「そそそ、そんなことまでしなくていいですよ!ほら、立って!」と慣れない私は焦ってしまう。20代前半に見える店員さん達は、一体ここまでのサービスを提供して幾らの対価を得ているのだろうと思います。

日本は、世界でも稀に見る「便利大国」です。日本全国で使え、コンビニで買い物も出来てしまうICカード。数分と遅れることもない電車。そして、痒いところに手が届く接客。これらは全て、消費者の視点に立って構築された「便利さ」ですね。

 

でも、反対にこれを働き手側の視点から見るとどうなるでしょうか。時給数百円で、お客様は神様です、と働くスタッフ。一日20時間、一分一秒の電車進行に神経を尖らせる駅員さん。皆が当然に思っている便利さから少しでもズレると、非難ゴウゴウの嵐にまかれて窒息してしまいそうです。

 

私は、日本の消費者目線の「便利」さは、もう世界の頂点に届いたと思うのです。フランスの住みにくさや、アメリカのいい加減さを知れば、これはもう自明です。だから、時給で働く人々の体力に訴えかけるサービスの向上はもうこれくらいにして、残りは頭脳ベースのアイディア・デザイン勝負のサービスにかけることにして、これからはもっと働き手の「便利」にも耳を傾けてみるのはどうでしょうか。

 

これ以上、消費者の「便利」を追求してみても、きっと日本という国の豊かさの総数は増さない。働き手はその期待に答えるために、ますます苦しくなるだけですから。誰もがどこかで働き手をやっている以上、日本の国の幸せ度を増す一つの視点だと思う次第です。