美しい米女性心理学者の説く、社会で成功するための秘訣

先日、スタンフォード大のデボラ・グルンフェルド教授の講演を聞いた。彼女自身は日本ではまだ広く知られていないが、フェースブックCOOのシェリル・サンドバーグが書いた右の書「リーンイン」にも触れられている社会心理学者。彼女のテーマは、ヒエラルキー社会において権力を持つ人間と持たない人間が典型的に取る行動形態の違いについて。話のエッセンスは唯一つ、社会で成功したいと思ったら自分が「社会のヒエラルキーのどこに位置するのかを瞬時に察し、それに応じた臨機応変な態度を戦略的に取ること。」40代後半、壇上に立った彼女を、十分に成熟し知的で美しいと感じたのは、私だけだろうか。

曰く、往々にしてグループ上層の人間は、時間と空間のコントロールに直結する態度をとり、下層の人間は彼らに従属する態度を無意識に選択しているという。しかしだからこそ、トップの人間がヒエラルキー下の人間の支持を得るために彼らと同等の態度を取ることや、下方の人間が階層を上昇するために、機会が熟した時トップの人間の態度を意識的にとることは戦略的にありだとする。女性も社会でリーダーの役割を演じることで態度が次第に男性化し、男性も下層であればあるほど身のこなしが無意識に女性的になるという。要は、普段気付かずに取られているこれらの態度を意識し、自己の利益最大化の為に、選択的に取ること。それが彼女のメッセージであった。

 

話を聞いていて、初めは上昇志向が前面に出たアメリカ的に過ぎる話だと思ったが、次第に日本社会の日常でも十分通用するメッセージだと考えるに至った。違う点は、上層に属する人間と下層に属する人間が社会で典型的に取る態度の差。日本では、どんな人間であっても、公に近い場でふくらはぎが膝にのる形で大きく足を組むことはないが、アメリカでは、人が無意識に相手に自分の余裕とパワーを誇示する仕草だ。日本で時々見られる社内のお世辞笑いは、アメリカ社会では同じ目的を達成するために上の歯だけを見せたより豪快な笑顔になる。日本は目上の人間に常にお辞儀をする権威が重要な役割を果たす国、と特別に彼女に紹介されていたが、外国人に目につきやすい習慣化された違いの奥を探ってみれば、本質の部分で似る部分はかなりあると思う。人間の本能により近い部分で無意識に行動しているからこそ、そのエッセンスは文化を越えて共通するメッセージたりえるのだろうと思った。