2013年日本は海外よりどう見られたいのだろう

何気なく通りかかったニュースタンドに、思わず目が釘付けになった。安倍首相の表紙に、ハローキティーを彷彿とさせるピンクのバック。危険、救助などの文字に「ミラクル・ウオーカー(miracle worker)」の題。入れ歯やピルや浮き輪が飛び交い、¥マークが踊っている。明らかに見て取れる制作者のいたずら心と、それを前面否定しきれない気持ち、そして自分自身の中にどうしようもなく込み上がってくる笑いと、複雑な思いにとらわれた。当の雑誌は、有名経済専門誌ブルームバーグの世界版。あくまでも日本人ではなく、海外の知識層に向けて書かれたもの。

これを見て、ふと2013年の今、日本は海外からどのように見られているのだろうかと考えた。19世紀には浮世絵が西洋で流行り、20世紀後半には禅の思想などが主に欧米で、そしてソニー製品などがアジアに広く受け入れられた。高度経済成長を経た2013年の今は、安全や時間の正確さに代表されるような社会の秩序が、イメージとして前面に出てくる気がする。日本には足を一度も踏み入れたことのないクロアチア人、東京を始めて訪れたというカナダ人、日本のことを多分よく知らないであろうイタリア人、全てが皆同じ回答を私に寄せる。「日本のイメージは、まず何と言ってもorder(秩序)。」彼等のその発言には、便利さ住みやすさといった部分に対する憧れと驚き、そして時間に区切られて生きることへの一寸の嫌悪感双方の感情が見て取れる。そして今回、有名経済誌さえも取り上げるに至ったアニメや渋谷文化。これも事実は事実として、外から見る限り海外の人が思う「ジャパン」の一つなのかと思う。そして二つのイメージに共通してあるのは、目に見えやすさ。前者の秩序は、地下鉄の正確さやコンビニの理路整然と区分けされた陳列ぶりに、そして後者のそれは、世界中のクリエーター達の目を丸くさせる奇抜で自由なアイディア群が発揮する個性に由来するように思う。

 

今年新経済連盟が以前出した「イノベーションへの緊急提言」では、日本の潜在能力は、①高度なデザイン力②おもてなし③細部へのこだわりとされた。そして前述のブルームバーグ誌の記事は以下の一文で締められている。「最終的には日本はアジアのスイスのような立場になることが運命付けられているのではないか。小さくても豊かで、世界中から羨望を集め、生活の質を向上させていくような(意訳)。」日本の真の強みは何で、この国は将来どのような国になりたいのだろう。他者が抱いているイメージと自己が押したいイメージは、果たして今一致しているのだろうか。BBCを始めとする海外メディアのコマーシャル枠を席巻するインドやマレーシアのプロ然とした国家イメージ戦略を見ていると、日本は他国から海外でどう見られているかに、随分大らかだという気がしてくる。自国から積極的にアピールしないと、自分のイメージは誰かに作られてしまう。これからの世界における日本のイメージをしっかり考える集団が日本にあってもいいかもしれないと思う。