私の考える英会話上達の秘訣

はじめに言っておくと、私はいわゆる日本で良く言われる帰国子女ではない。

 

なので、英語習得に苦しむ日本人の人々の気持ちは痛いほど良くわかる。海外に出て既に10年超。現在、多国籍の人々に囲まれ日本人がほとんど存在しない環境に生きているので、日本語を使う機会は週に一度、十数分ほど日本の両親に電話するのみに限られるようになってしまった。既に英語を自分のコミュニケーションの軸として生活する日々が日常となっているので特に疑問も不便も感じないが、私が始めて日本を離れた時には、サンマの塩焼きを食べることが出来ないのと同様、日本語が使えないことがこれまで自由に使えた両手を縛られているように思え、辛かった。

日本に帰ると必ず「帰国子女だったのですか。」という質問攻めに会い、この質問の意図と背景を思わず反芻してしまう自分がいるのだが、外国語を話すためには必ずしも帰国子女である必要は全くないことを、ここで明らかにしたい。無条件に言葉を吸収できる幼い時期を超えた人間として、少しのコツが要るだけなのだ。関係してくるのは、生まれつきの才能ではなく、同じことを続けることのできる忍耐力。では、どうしたら、英語を上手に話すようになれるのか。自分の過程を振り返り以下、考察。

 

端的にいって、語学上達のヒントは、赤ちゃんが自然にそれをマスターしてしまう過程に隠されていると思う。

 

多少無謀でも、自分の状況を赤ちゃんの状態に近づけてしまうことが最大の近道なのだ。彼等は与えられた言葉を「訳する」こともしないし、「なぜここが現在進行形なのか」と考えることもしない。最初は母親の言葉(ネイティブ)を聞き、繰り返すだけ。文部省の方に声を大きくして伝えたいのだが、自分自身の語学習得プロセスを辿ってみて、大きなエネルギーのロスは中高の文法の授業にあったと思う。赤ちゃんは、ただ膨大な量を吸収し、反復する内に上手になる。ここではネイティブのインプットと膨大な量の繰り返し、という点が鍵。とにかく、あらゆる分野の英語を音声で聞き、何も考えずに多くの量をすらすら暗唱できるまでに繰り返すこと。これが結局一番の近道だと思う。  

 

日本語でもそうだが、英語の日常会話のセンテンスはとても短い。この短い一文を考えなくても暗唱できるほど暗記してしまうこと。吸収は、睡眠に入る前の状態の脳が一番と聞いたので、私は寝る前に良く音声を聞いていた。そしてそのバリエーションを限りなく増やすこと。英語と日本語はその構造や語源があまりにかけ離れているので、日本語を介在させればさせるほど、上達の道のりは遠のくと思った方がいい。最初は辛くても、英語で記憶、英語でそのまま表現、を習慣付ける。私の中でも、二つの言語は全く別のフォルダーに収納されているイメージがある。英語で話している時には英語で考え、日本語で話す時には日本語で考える。自分の気に入った映画の台詞でも、英会話のテキストでも、ネイティブの発音をまねて100文位暗記してみるといいかもしれない。そして恥ずかしがらずにそれを使ってみること。

 

上達には質よりも、量が遥かに重要で、だから才能よりそれを続けられる忍耐力が重要になってくるのだ。そして間違えることは決して恥ずかしいことではないと思うこと。留学が語学上達に有利なのは、24時間ひたすらそれを試す環境があることが理由で、日本に居ながらでも、その環境に自分を近づけてみることは可能だと思う。留学しても日本人だけと時間を過ごす多くの日本人留学生よりも遥かに、語学は上達するはずだ。