日本という国の美しさについて

海外で8年を過ごした。先進国、途上国の双方で暮らし、途中はアフリカの難民キャンプにも出向き、ネパールでは高山病になりかけながら、歩いて子供達に会いに行ったりした。現在休暇をとって帰国中であるが、その私を打つのが、日本という国が持つ美しさだ。幼少の頃は、他国も似たり寄ったりだろう思っていたが、これは全く誤りだった。同じものは、二つと世界には存在しない美しさだと思う。

まず四季があるということ自体を、素晴しいと思う。ラオスでは、一年を通じて25度を越える常夏の国に四年暮らしたが、双方の国民性において文化に対する繊細さと真剣さは完全に異なった。日本の春は、夜桜の幽玄を思わせる美しさ。また朝桜の清純な麗しさと儚さ。画家の感性を通して伝えられるそれも圧巻で、私のこころはなすすべもなく崩壊しかかる。季節で移ろう日本食の持つ深みと精神性も素晴しいと思う。時に敏感に、器と共に香り、視覚、舌触りなどの感覚に訴える力は、スパイスやオイルに頼る他国の料理を凌駕するように思う。

また長い歴史を、誇りに思う。ラオス時代の事務所には約100人の多国籍スタッフが常駐していたが、彼らと毎日接しているうちに、長い歴史を持つ国は本当に一握りであるという事実に気づいた。移民により建国された国や明確な史記が残されていない国は、思ったより多い。日本の伝統芸能や、歌、陶芸、建築技術や仏像等は、この長い歴史の中で芸に長けた先人達が命を注ぎこみ磨き上げたもの。そしてそれを私達はこの時代に受け継いでいる。先人達の過去の仕事は、宙へと至る道をそれぞれの方法で沈黙と共に明らかにしており、その質の高さには、目を見張るものがあると思う。

 

たまには祖国の価値に思いを馳せるのも悪くはないと思う。内部にいると当然と思うことも、外部に在る者の目には、事実、特殊かつ貴重に映る部分は多い。